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空港にて
メルローズは決して逃げない!
 9月3日、ニューヨークを離れ6時間のフライトの後、ロサンゼルスに到着。ビルトモアホテルに入った。
 ロス市内では最古の歴史とクラシック・デザインの格調高いホテルで、スタッフの制服も渋いレトロ調、特にロビー正面のフラワー・デコレーションの美しさが目を引いた。
 ほどなく和喜の小学校時代の友人、森塚君がやってきた。今日は、これからリトル・トーキョーを案内してくれるという。英語のまったくできない私たちにとって本当にありがたいことである。
 車で案内されたリトル・トーキョーのなんと寂しいことか。半数の店はシャッターを降ろしたままである。かつて10万人の日本人が住んで繁栄を誇った街はどこへ行ったのか。
 その中でしゃれた店構えのカレー・ショップに入る。あの懐かしい香りが鼻をくすぐる。店内は日本人客でいっぱい。しかし、出されたカレーの量の多さにびっくり。結局一人前を二人で食べてちょうどよく、これから滞在中はレストランでの大盛りには悩まされることになる。
 翌朝、予約していたJTBの観光ツアーガイドが迎えにきてマイクロバスに乗り込む、一行は神戸の男子大学生と泉大津(大阪府)の女子大生2人に私たちを合わせて6人、奇しくも関西人ばかりで話も合う。
 要所で下車観光しながら、ダウンタウン、ハリウッド、ビバリーヒルズと経て、とある商店街で約一時間の散策を勧められた。
 何の変哲もない商店街だが、ひどく人通りが多く、よく見ると日本人女性がほとんどで老いも若きも目を輝かせている。
 何軒かの商店に入ってみて並べられた商品がすべて高級ブランド品であることに気付いた。そして、ここが有名なメルローズ・ストリートという世界の一流ブランドを集めた商店街であることを知った。
 そこからサンタモニカに回って観光ツアーは終わりロスに戻り、一行のうち女子大生2人が宿泊しているホテルに帰りついたとき、彼女たちが「これから再びメルローズに戻りたい」と言いだした。
 40がらみの日系3世のガイドは、さとすように「明日、お父さんが来てから一緒に行きなさい」と引き止めていたが、若い娘は素直には従わない。つい彼は言った。
 「若い娘二人で夜間に出かけることがどんなに危険なことか、あなた方はロスの恐ろしさを知らないのだ。メルローズは決して逃げたりはしないから明日にしなさい!!」
 世界第2のロサンゼルスにしてこの治安の悪さは、激増する銃犯罪と共にアメリカの恥部であると思う。
ユニオンスクェアにて
ヘアトニックを求めて3000里!
 数年前、「朝シャン」がブームになり多くのヘアケア商品が売りに出され、世の親たちは娘の「朝シャン」用のシャワー付き洗面台を買わされた時期があった。まことに恐るべきは、正も誤も共に正としてしまうメディアの力である。
 毎日朝シャンするのもよいが、粗悪なシャンプーを使って、後のすすぎ(湯で流す)を雑にすると、シャンプー成分の残りが頭皮を荒らし、かゆみフケ、抜け毛の原因になる。シャンプーの無かった時代に、黒髪を誇る日本女性が禿頭になったという話は聞いたことがない。
 そんな訳で、私は毎朝、ヘアトニックでリフレッシュしてから整髪量でヘアスタイルを整えている。
 そのヘアトニックは現地で買えばよいと考え、日本を出るとき少量しか残っていないものを持参したのが間違いであった。
 ボストンの娘宅での10日間に、ヘアトニックを求めてかなりの店を歩いたが売っていない。かえって「どうしてそんな物が必要なのか?」と質問される始末で、それならニューヨークではあるだろうと期待したが、やはり怪訝な顔をされるのがおちであった。どうやらアメリカ人の日常習慣は、毎日のシャワーの度にシャンプーをして、そのまま整髪ということらしい。
 こうして、ロサンゼルスにやってきたのだが、ご承知のように日本人、日系人の多い街なので森塚君の勧めで例の「ヤオハン」に行ってみた。さすがに日本製の商品、食品が並び日本人客で溢れていたが、ここの化粧品売場にもヘアトニックはなかった。
 それならと、アナハイム(ロス郊外-車で40分/ディズニーランドのある町)のヤオハンまで足をのばした。
 その結果は?あった、あった。夢にまで見た?あのヘアトニックが!まるで100年ぶりに恋人に会ったような気持ちで手に取った。
 まちがいなく日本の資生堂製、さっそく買い求めようと価格を見ると、なんと3000円。日本の倍である。それでも買わなくてはという気になるから不思議だ。店員の話ではこちらにヘアトニックは全然ないので、入荷するとすぐに売切れてしまうそうだ。
 高価にあきれながらも、ようやく手に入れたこの一本のヘアトニックを、今夜はたっぷり頭に振りかけて・・・と、ひそかに胸をときめかせた!
 ああ、まさにヘアトニックを求めて3000里!!(つづく)
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