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カジノにて
勝っても負けてもラスベガス
 いよいよ砂漠に咲くあだ花といわれるカジノの街ラスベガスだ。ラスベガス空港のロビーにも並べられたスロットマシーンで、フライト寸前まで熱中する姿はあまりにも有名である。
 カジノの街に建ち並ぶホテルはとてつもなく大きい。私たちの泊まったルクソールホテルは中型ホテルだが、それでも4200室。最大のものは7000室を超えるという。
 各ホテルはカジノをもち、連日連夜、世界中から集まった観光客が大金を落としていくのはご承知の通りである。ニューヨーク滞在中に前述のJuneeさん(第3回参照)の案内で、カジノ都市アトランティックシティを見せていただいたが、規模の点では比較にならない。さすが世界に轟くラスベガスである。
 3日目にダウンタウンにそびえるラス場ガスタワーに昇ってみることにした。エレベーターで108階、350mの展望台に到着。はるか彼方にコロラドの山々が連なり、その麓まで一木一草もないネバタ砂漠が続く。
 その真ん中にあるこのタワーを中心に拡がるラスベガスの町並みは、華麗なイルミネーションに彩られた、どこの大都市のそれよりきらびやかな昨夜の顔はどこへやら、しぼんだあだ花と形容したいほど。
 最近、手軽に行けるツアーとして人気の高いアメリカ西海岸コースには、必ずこのラスベガスが組み込まれて、若いカップルの日本人客が多くなっているが、実はここは「離婚便利都市」として有名。ネバダ州の法律が全米でも最も簡単に離婚が成立するためで、膨大な慰謝料をせしめて、これを元金に大儲けをして凱旋するはずが文無しになったという話が後を絶たないという。
 中には某国の代議士のように莫大な借金を抱えて帰り、その地位を失ったがその後、かえって人気が出たとかの喜劇?もあれば、一方では家族も事業も崩壊させてしまった例も枚挙にいとまがないとか。げに恐ろしくは人の欲!
グランドキャニオンにて
新婚さん、お疲れさま!
 ホテル・ルクソールのロビーには、グランドキャニオンやディナーショー、変わったところでは実弾射撃体験などの各種ツアーの売り込みのために、各社の営業社員の姿が絶えない。
 続々とバスで送り込まれる日本人観光客(ほとんど新婚カップル)に、笑顔いっぱいで長時間かけて各社競争で売り込みを続ける彼女たちの姿には感心した。
 私たちは、グランドキャニオンの観光に向かった。迎えのバスに乗りエアーベガス空港へ。客のほとんどが日本の若い男女で、私たち年寄り夫婦は何か異人種の感じになった。乗り込んだセスナ機の定員はパイロットを入れて10名。9名の乗客は私たち3人と新婚三組。小型機だから風に流されるとドスンと落ち込むし、まことに派手なフライトが続き、みんな黙りこくって耐えている。離陸後しばらくして「皆さん、眼下にグランドキャニオンが見えてまいりました」と日本語の観光ガイド・テープが流れ、急いで目を凝らすと凄まじいばかりの光景が展開している。一本の草木もない巨大な岩山と渓谷の果てしない連続。ふと機内を見ると新婚3組は深い眠り?の中。まもなく着陸してグランドキャニオンの頂上展望台3ヶ所を巡る。2000mの断崖下にはコロラド河がくねくねと渓谷を縫い、1500年かかって形成された地球創世記のような息を呑むばかりの奇勝に見とれて、さて新婚さんはと見ると、相変わらずの仏頂面が多い。どうでもいいことだが、この仏頂面の原因を昨夜の大興奮の疲れかと想像していたが、どうやらカジノにあることが読めてきた。あの花嫁の不機嫌さは大金をスッたにちがいない。逆に嬉々としたカップルはささやかな儲けをつかんだか、初めからカジノに無関心な組だろう。
 帰りのセスナ機では、お互いに笑顔を取り戻し我々を安心させた。はるばる日本からやってきた若いカップルの皆さん、本当にお疲れさま。
 どうぞ末永くお幸せに---。(つづく)
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